遠距離介護は、遠方に住む家族が必要に応じて通いながら介護を行う形態であり、在宅介護とは異なる特徴を持っている。この介護形態には様々なメリットがある一方で、金銭的負担や緊急時対応の困難さなど、看過できない課題も存在する。これらのデメリットを十分に理解し、家族間で慎重に検討することが重要である。
最も深刻な課題は金銭的負担である。介護のための移動費用は、車や公共交通機関のいずれを利用する場合でも、頻繁な往来により大きな負担となる。さらに、IoT機器の導入や介護サービスの利用に伴う通信費、サービス利用料なども必要となる。これらの継続的な支出は、家計を圧迫するだけでなく、追加収入を得るための労働時間増加につながり、結果として介護者の精神的・肉体的負担を増大させる可能性がある。
次に重要な課題は、緊急時の対応の難しさである。急病や事故などの突発的な事態が発生した場合、遠距離であるがゆえに迅速な対応が困難となる。特に夜間や深夜のトラブルは、在宅介護サービスでも対応が限られる場合が多い。また、被介護者自身が助けを求めることができない状況も想定され、最悪の事態を招く可能性もある。
このように、遠距離介護は被介護者の安全を常時確保することが難しく、十分な見守り体制を構築するためには相当の負担が伴う。介護の形態を選択する際は、これらのデメリットと家族それぞれの希望を慎重に検討し、全ての関係者にとって最適な方法を選択することが求められる。特に、金銭的な問題については、家族間で事前に十分な話し合いを行い、負担の分担方法を明確にしておくことが重要だろう。